小口染めとは、名刺の断裁面の左右にあたる小口側、上部の天側、そして下部の地側の四方を色づけする染め技法です。
「縁そのもの、印刷物のサイドに色をつけた印刷物」という表現がわかりやすいでしょうか。「edge print(エッジプリント)」とも呼ばれます。
DICやPANTONEのカラーガイドでの色指定が可能です。
小口(エッジ)部分に染め加工をするという特性上、小口(エッジ)の面積が豊富な厚めの用紙が使われることがほとんどです。活版印刷は、凸凹を再現するのに強めの印圧をかけることが多いため、厚めの紙がよく使用されます。
活版印刷名刺とは、相性のいい加工といえるでしょう。紙が厚いと印圧の入りもよく、ディテールもきれいに再現できるため、ハードプレスの印圧と組み合わせるのが特におすすめです。
小口染めは機械で行ったり、アクリル素材を転写したりといくつかの方法がありますが、黒林堂では職人が一枚一枚手作業で染料を塗布しています。そのため多少の濃度ムラが出たり、紙質によっては染料が深くまで浸透する場合がありますが、手作業ゆえの味わいのひとつと思っていただけると幸いです。
また、着色面を擦っても染料が付かないように、もうひと工夫の加工作業をしております。手作業ですので、通常よりも多めの制作日数をいただいております。なるべく迅速に仕上げるよう努力しておりますが、お急ぎの場合はご注文の前に一度お問い合わせください。
小口染めは、側面という通常は目立ちにくい部分に色を付ける、ややマニアックな加工と取られがちです。しかし、使い方によっては視覚的インパクトの大きい、大変有効な加工です。
例えば、印刷面がとてもシンプルなデザインのカードでも、小口染めを施すことによってがらりと雰囲気が変わります。強い色で印象的に縁取るもよし、カードのデザインに使っている色と同系色をさりげなく色付けして彩りを添えるのもよし。ブランディングの一環として会社やショップや商品のテーマカラーで染めるお客様も多く、統一感のあるデザインとなります。
スタッフがそれぞれ異なるカラーの名刺を持つことで、相手にそれぞれの個性をアピールすることもできます。また、ショップカードのように数枚を重ねて置いておく場合は、特にその効果が際立つでしょう。
小口(エッジ)に塗布する色と、用紙の色との組み合わせも大事なポイント。淡い色ほど下地の紙の影響を受け、濃い色ほどはっきりと表現されます。
ゴールドやシルバーなどは、下地の紙色が濃いとより小口染めの色が際立って、印象的な仕上がりになります。さり気なく上品に差をつけたい、そんなこだわりのシーンに小口染めをご活用ください。